CROSSTALK 02
トップヒトを知るリーダー座談会運営マネジメント座談会

運営マネジメント座談会

  • PPP・共創事業本部 PPP推進(西日本)
    上田さん

    前職で(株)トッパンアイデアセンターにて商印ディレクターを経験後、2007年にトータルメディア開発研究所入社。プロジェクト推進業務を14年経て、現在は福岡市科学館にて事業推進責任者として従事。

  • PPP・共創事業本部 PPP推進(東日本)
    来馬さん

    前職でテレビ業界の番組制作業務や、教育業界の施設マネジメント業務を経験後、2013年にトータルメディア開発研究所入社。プロジェクト推進部を経て、現在はPPP推進第1部にて東日本エリアの施設管理運営業務に従事。

  • PPP・共創事業本部 共創事業開発(VS.共同事業体)
    福本さん

    2011年にトータルメディア開発研究所入社。プロジェクト推進部、営業部を経て、事業の立ち上げ段階からVS.プロジェクトに参画。VS.のプロジェクトマネージャーとして展覧会やイベントの企画推進に従事。

  • 開発研究センター
    鷲田さん

    前職で水族館や商業施設での企画広報業務を経験後、2022年にトータルメディア開発研究所入社。PPP推進部を経て、現在は開発研究センターにて会社の広報業務に従事。

CROSS TALK
  • PPP(パブリック・プライベート・パートナーシップ)の仕事ってどんな感じ?

    来馬さん

    僕の所属するPPP推進部では、行政と民間事業者が連携して公共施設の運営を行うのが仕事。現在チームリーダーとして、東日本で運営している6施設の管理運営業務を担当してるよ。現場で直接企画展等を計画するというより、各施設担当者と連携しながら計画通りに運営が履行できているのかを管理する立場。 施設ごとに指定管理や業務委託など契約形態が異なるし、科学館や企業ミュージアムとジャンルもさまざまなので、施設の特性や各自治体の要望に寄り添って、適正な運営判断をするのがミッションだね。

    上田さん

    私は、福岡市科学館の事業推進責任者として、施設に常駐して事業推進業務に携わってるよ。来馬さんと同じく施設の運営を行う仕事だけど、福岡市科学館はPFI事業(公共施設の建設、維持管理、運営の全てを民間企業が長期的に一括して行い、そのサービスを自治体が購入する運営方法)なので開館してから15年間にわたって運営していくの。現場での仕事は展示やワークショップなどの事業計画・予算管理から、スタッフ約50人のマネジメントまでさまざまだよ。

    鷲田さん

    私も昨年までは2人と同じ部署で施設の運営に携わってましたが、やっぱり自治体によって求められるものは違うの?

    来馬さん

    自治体の土地柄、住民構成、マニュフェストなどによって、施設運営に求められているものは違うね。逆に、こういう点を強化したらよいかもという提案をすることも。さまざまな自治体の課題に向き合ってるからこそ、いろんな提案もできるよね。

    上田さん

    科学館は小学生が来館の中心になりがち。自治体の施設は、あらゆる年代のお客様に喜ばれる施設になることがミッションだから、新しいことにチャレンジしながら日々試行錯誤してるよ。 PFI事業は任せられている範囲が広いし、主体的な判断を求められるから、民間のリソースを活かして収益アップを目指すのもミッションの1つ。要求水準を満たすだけじゃなくて、新たな事業を生んでいくことも期待されてるの。

  • トータルメディアの新事業、「VS.」とは?

    鷲田さん

    自治体の課題解決や、ミッション達成に向けて、最善の運営を考えるのが来馬さんと上田さんの担当する施設のミッションだよね。一方で、福本さんが携わる「VS.」は自治体の施設ではなくて、トータルメディアと株式会社野村卓也事務所の両社がVS.共同事業体として、「グラングリーン大阪」内に開業した新しい施設。自ら文化事業の主体者として事業を展開してく必要があるし、常設展示がないから、毎回ゼロから企画展を創造するスタイルだね。

    福本さん

    そうだね。VS.は「新しい文化装置」をコンセプトに2024年9月大阪の梅田にオープンしたばかり。開業以来、アーティストの展覧会やVS.プロデュースによる企業の企画展など、いろんな企画を展開しているけど、自主企画するものもあるし、他社と共催したり、企画展を誘致することもあるよ。僕の仕事は、展覧会の企画推進から、新しい事業の構築や施設利用者との交渉など、運営に関わる幅広い業務に携わっているよ。今後はクリエイティブなアワードや商品開発などの新事業にもチャレンジしながら、「VS.」のファンをつくっていきたいなって思ってるよ。

    鷲田さん

    “うめきた”っていう新しいエリアで、近隣施設の方と一緒に地域のブランディングを推進していくのは、とてもやりがいがありそう。この1年くらいで施設の成長を感じる手応えはあったりする?

    福本さん

    「何かおもしろそうなことをやってる場所」「ここに来れば刺激が得られる」って期待してもらえる場にしたいと思ってるんだけど、最近は多様な年齢層の人がフラっと訪れてくれていて、少しずつ思い描いてた場所に近づいてきているんじゃないかなって思ってるよ。

    上田さん

    夢が広がるね!「VS.」のコンセプトである「新しい文化装置」が具現化されててすごい。私も福岡市科学館の講座やワークショップで、子どもたちが自分の考えを述べられるように成長してくのを見ると、「人が育ち、未来をデザインする科学館」という理念を具現化できてると思って嬉しくなるよ。「コンセプトを自ら具現化していくトータルメディアの仕事ってすごい」って思える。

  • 仕事のやりがいやおもしろさってどんなところ?

    上田さん

    プロジェクト推進部にいた時は、施設を完成するまでが仕事だったけれど、運営のおもしろさは、実際に来館されたお客様の反応をダイレクトに感じられること。運営の仕事に携わってから、お客様目線で施設を良くすることを考えるようになったな。プロジェクト推進と運営の両方を経験したからこそ気づけたこともいっぱいあって、プロジェクト推進チームにも是非運営の経験をしてもらいたいなって思う。 他にも、大学生や中高生、地元企業や大学教授などの多くのステークホルダーと中長期的に関わって仕事ができるのも運営の魅力。一緒に作った企画や講座を次回に向けて内容をブラッシュアップして、さらにいいものに進化させていくのもやりがいの1つかな。

    鷲田さん

    推進・制作部門と違って、納品や完成っていうゴールがないというのも運営の特徴だね。そこに難しさがある反面、企画をどんどんブラッシュアップしていったり、10年後の施設をこうしたいっていう夢を描いたり、成長し続けられるのはやりがいを感じられることだよね。 私は、リピーターのお客様の存在もモチベーションにつながったな。よく来てくれる幼稚園生が小学生に上がって、難しいプログラムに参加してくれるようになったことがあって。施設だけじゃなくてお客様の成長を感じられることも運営ならではの喜びだなって思ったな。みんなも仕事で嬉しかったエピソードはある?

    上田さん

    私は、子どもたちが私たちの思惑を越えて動き出すのを見るのが嬉しくて。1つの展示でも、思いもよらない楽しみ方をしたりしてるんだよね。「今日はこの作戦でクイズをクリアしよう」とか作戦を立てているリピーターのお客様を見たことがあるんだけど、こどもたちの発想力に驚かされるよ。

    来馬さん

    すごくわかる!思い通りのリアクションも、思いがけないリアクションもおもしろくて、それは現場で人と関わっている仕事の醍醐味だなって感じるよ。 僕は、新施設の立ち上げに関わったことが何度かあるけど、オープン前の施設はどこか味気なくて。人が利用してもらってこそ、施設は魅力を発揮するって思うよ。

    鷲田さん

    まさにトータルメディアが目指す「コミュニケーション環境を作る」だね!上田さん、来馬さんの担当される施設はお子様・親子が多いから、反応もより大きくて嬉しいよね。福本さんは自分で企画した展示を楽しんでくれる人たちから意外な反応をもらうことってあった?

    福本さん

    「VS.」でもターゲットだと思ってなかった年齢の方が楽しんでくれていることがけっこうあって、いろんな人に興味を持ってもらえる企画を作ることができたなって実感できるからすごく嬉しくなる。来館者だけでなくて、著名なアーティストやクリエイターと一緒に仕事ができたり、予想もできなかった共創相手とプロジェクトを企画できたりするのも「VS.」ならでは。「VS.」は自主事業として始まったから開業前は不安だったけど、いろんな人とのつながりに恵まれて「今までにない面白いことができそうだ」と可能性を感じられるようになった。この流れを加速させて、良い方向へと広げていくのが今のミッションだな。

    来馬さん

    そうだね。VS.は科学館や歴史博物館のようにジャンルが決まってない白いキャンバスだからこそ、文化に対して多様なアプローチができるし、いろんな人が集まってくるのが魅力的だよね。

    福本さん

    広い意味でカルチャーを発信する場だと思っていて、いろんなことや人と関わっていけるのはとても楽しいよ。僕は音楽が好きだから音楽関係の企画もよく実施しているよ。「VS.」にはすごいサウンドシステムがあるし、地下に企画展示スペースがあるから音量も融通が利く環境で、音楽やライブとの相性がとても良いんだよね。お客様の反応を見ていても、音楽は国境を越えて共感できる文化だなって改めて感じるな。

    鷲田さん

    この人と一緒に仕事をしたい、こんな企画展がしてみたいっていう熱意が実現でできるのは、すごく羨ましい環境だね!

  • 企画のアイデアって、どうやって見つけてる?

    鷲田さん

    みんな企画立案にも関わっていると思うけど、企画者の想いや熱量って来館者にも伝わるはずだし、ここが面白くてこれを伝えたいっていう視点を持っているのは良いことだよね。そのためには、幅広く興味のアンテナを張ってることが必要だと思うんだけど、みんなは普段どんなことを意識して企画立案に活かしてるの?

    来馬さん

    例えば科学館だと、科学プログラムだったり、プログラミングだったり、どんどん技術も進化するから、他館のイベント情報や科学技術に関する情報チェックして、トレンドを把握したり、この企業に依頼すればこんなプログラムをできるかもという情報を蓄えておくようにしてるよ。僕は自分で直接企画展の内容を考えるというよりは、そういう情報を企画チームに共有したり、企画チームがやってみたいと思ったことを、ここに相談したらできるかもって提案することでサポートできるようにしてるんだ。

    福本さん

    僕も音楽やファッションとか、文化に関係するいろんな情報収集を大切にしてるよ。「何年後にこれをやるんだ」ということを明言するっていうよりは、頭の中にぼんやりと情報の引き出しを増やしておいたり、やってみたい方向性を描いておいたりするんだけど、そうすると自然と感性の近い人とつながったりするんだよね。そのチャンスが来た時に、自分の温めている想いとピタッとはめていく感じだな。

    上田さん

    私はとにかくいろんな人の話を聞いたり、対話することを大切にしてるよ。自分1人では想像力に限界があるけど、講師で来ていただいた方と話していているうちに次回の講演のテーマが決まったり、スタッフと話していて「それおもしろそうだね」っていうところから次の企画のアイデアが生まれたりする。

  • 運営管理者に必要なスキルって?

    鷲田さん

    運営ではお金や企画進行のマネジメントだけでなく、人のマネジメントが非常に大切。スタッフの前向きなモチベーションが施設の雰囲気をつくることもあるよね。

    上田さん

    対話は時間も労力もかかることではあるけど、とっても重要なこと。福岡市科学館には約50人のスタッフがいるけど、それぞれの得意分野や健康状態を把握するために、積極的にコミュニケーションを取ってるよ。

    来馬さん

    僕は現場のスタッフと毎日対話する環境ではないけど、その分、自分が何気なく話したことでもスタッフは覚えているということがよくあって。スタッフを混乱させないように発言にズレが生じないように心掛けてるよ。もう1つ意識しているのが組織マネジメントの重要性。自分がいなくても成り立つ自立的な集団にできるように、スキルの底上げ・自主性や行動力の育成を心掛けてる。

    福本さん

    僕の場合は、イベントや展覧会に応じてクリエイターや運営者が異なるので、毎回異なるチームでプロジェクトを行っているよ。海外の方ともプロジェクトを行うし、毎回新しい人たちとコミュニケーションを構築しながら仕事を進めるのは「大変そう」と思わるかもしれないけど、これまで幸いにも熱意のある方々と巡り会えてるから、「こんな良いものを創りたい」という認識を共有しながら前向きなスタンスで取り組めてるな。

  • 未来の仲間にメッセージを

    鷲田さん

    運営管理は本当にいろんな業務に関わる必要があるけれど、どんなスキルがある人が向いてると思う?私はコミュニケーションスキルがあって、現場が好きな人がこの仕事が向いていると思うな。会話の中で企画が決まったり、ネットワークが広がって新たなアイデアが生まれたり。そんなライブ感を楽しめる人にはぜひ運営にチャレンジして欲しいなって思う。 納期や期日に向けてファシリテートする能力も大切だけど、傾聴力とか謙虚に人の意見を聞いてまとめていく力が運営には大切だと感じてるから。

    福本さん

    僕はいろんなことに苦手意識がない人があっているのかなって思うな。関わる業務が幅広いし、新しいチャレンジをすることも多いから、最初から「それはできない」というのではなく、いろんな人に頼りながら考えていく姿勢が大切じゃないかな。

    鷲田さん

    運営は特に、いろんなお客様が訪れる場をつくる仕事だから、自分の意見だけでなく、いろんな人の意見を聞いて判断していくのも大切だよね。

    上田さん

    確かに「人に頼れる」のも大切なコミュニケーションスキルかもしれないね。私自身、専門的な知識が求められるシーンや難しい状況に陥った場合は周囲の方に頼ってるよ。 私は、スタッフが長く働ける環境を築くことを自分の目標にしてるんだけど。もちろん自分も長く働きたいなって思うし、今のスタッフたちに愛情を持ってるから、産休を取っても戻ってきてくれるような長く勤められるような組織をつくることを1つの指標にしてるの。もしそれが実現できたら、1つの社会貢献になるすごい仕事だなって思うし、施設のコンセプトを実現するだけじゃなくって、チームのことを一緒に考えてくれる人と働けたら嬉しいな。

    来馬さん

    周りの人のことを考えられることや、みんなのためにより良い方法をさぐろうとする気持ちを持つことは館のマネジメントをする人にとって、とても大切な要素かもしれないね。 僕は運営の管理者に必要なのは「事業のマネジメント力」「人のマネジメント力」「さまざまなことにアンテナを張って新しい情報を取り入れていくマインド」の3つだと思います。

    福本さん

    それと、「変」なことを考える意識や余裕がある人がいいなって思う。クライアントの期待を超えたプラスアルファを加えられるかって大切なポイント。そのプラスアルファにはいろんなアプローチ方法があるから、想像力やゆとりが必要だなって思う。来館される方の反応を見ていても、見たことがないものや、想像できないようなリアルな体験が期待されていると日々実感しているんだよね。

    上田さん

    そうだね。そのためにもまずは、たくさん遊んでください!科学館でも「学校でできない実験や体験をたくさん楽しんでください」と子どもたちに伝えてます。科学が苦手でも、実験で化学反応を見れば面白くて興味がわくはず。原理原則や専門用語から入るんじゃなくて、自分の好きなことを心のままに追究していけば世界は広がっていくと思うな。いろんなことに楽しみを見出して「遊べる」ことが大切な気がします。

    全員

    すっごくいいね!

    来馬さん

    上田さんの「遊び」に賛成!プラス、人と関わることを面白いと思ってもらえたらと思います。トータルメディアの仕事は、社内の人、施設の人、ステークホルダーなど、多くの人と関わる仕事。リアルなコミュニケーションが少なくなってしまっている中、人との距離感や関係を築くのはより難しくなってしまっているかもしれないけれど、人との関わりをポジティブに捉えられたら会社人生を有意義に過ごせると思うよ。