COMMUNICATION STAGE
STAGE 03

リスクマネジメント

自分ごと化と、風通しのいい対話の場で「安全文化」を育てる

災害や事故のリスクは、地域や企業にとって避けて通れない課題です。しかし、その重要性をわかっていても、「自分ごと」として実感し、行動に移すことは簡単ではありません。大規模な自然災害においても、時間の経過とともにその記憶は徐々に薄れていき、防災への意識も低くなっていきがちです。私たちトータルメディアは、単なる情報の伝達だけでは人々の心に教訓として刻むことや、具体的な行動を促すことはできないと考え、災害や事故について「自分ごと化」し自発的な行動にむすびつけるための場づくりに注力してきました。災害や事故の際に起こった事実、原因、その際に人々がとった行動を正確に伝えるとともに、実際の災害や事故の様子を想起させる疑似体験や訓練体験を通じて“自分ごと化” し対処スキルを身につけるきっかけをつくります。パンフレットや講話では決して生まれない、体験と対話がもたらす気づきと行動変容のしくみをつくっていくのです。住民と行政、社員と経営層、専門家と市民と立場を超えた人々が集まり、互いの経験や思いを共有できる場の創出。その場で芽生えた共感や発想が、地域や組織に自走する「安全文化」として根付いていく。私たちはそのためのきっかけとなる体験と対話の舞台を整えます。

Case 01

地域防災への意識づくり

「自分ごと」として地域ぐるみで防災に取り組む場をひらく

現代の地域社会では、かつて当たり前だったつながりが弱まりつつあります。さらに世代間でも、防災への関心や記憶のあり方は大きく異なります。災害を経験した世代にとっては切実な課題でも、若い世代にとっては遠い出来事のように感じられることも少なくありません。こうした「年齢・文化・経験の違い」が積み重なることで、地域全体での「共通の土台づくり」が難しくなっているのです。私たちが重視するのは、地域に眠るストーリーや知恵を掘り起こし、「自分ごと」として再発見できる体験に仕立てることです。例えば、水害や火災の記録をただ学ぶのではなく、当時の暮らしの工夫や助け合いの知恵を体験的に共有する仕掛けを用意する。消防署や学校と協働し、遊びや体験型プログラムを通して「これなら自分もできる」と思える一歩を届ける。

  • 春日井市消防署 「防災学習コーナー」

  • 佐賀広域消防局・佐賀消防署 防災学習広場

  • 大府市DAIWA防災学習センター 冠水道路からの避難体験

重要なのは、住民が「専門家から教わる」立場にとどまらず、「自分たちの暮らしに息づく知恵」として気づきを得られることです。その実感が、「あ、これならできる」「次はこんな工夫をしてみたい」といった行動へのきっかけになります。私たちは、防災を一過性のイベントではなく「暮らしに根ざした文化」として再編集し、地域が自走できる安全の風土を育てていきます。

Case 02

安全・安心のカルチャーシフト

リアルな体験から「話したくなる・動きたくなる」空気を広げる

企業における「安全文化」は、経営に直結する重要なテーマです。どれほど立派なマニュアルや研修資料があっても、社員一人ひとりが「自分ごと」として捉えなければ、現場での行動にはつながりません。しかも、安全に関する話題はどうしても形式的・受動的になりがちで、「聞かされるだけでは響かない」という課題を多くの企業が抱えています。そこで私たちが仕掛けるのは、リアリティある体験を通じて「これは危険だ」と実感できる場面を届けることです。例えば、過去の事故やヒヤリハットをもとにした没入型の体験プログラムの導入。現場で実際に起きた判断の迷いや、小さな油断が大きなリスクにつながる瞬間を追体験する。そこで生まれる緊張感や気づきは、会議室での説明では絶対に得ることができません。

  • 北海道旅客鉄道社員研修センター 安全研修館

  • 福島原子力事故の事実と教訓を伝える安全啓発施設 「3.11 事実と教訓」

  • 京成電鉄 安全共創室

同時に大切なのは、社員どうしが心理的に安心して語り合える場を整えることです。「自分の失敗を共有してもいい」「現場での違和感を声にしてもいい」と思える環境こそが、組織の安全文化を強くします。私たちは、経営層と現場、ベテランと若手といった立場を超え、フラットに対話できるステージをデザインします。安全を守ることは、単なるリスク回避ではなく、会社が提供するサービスの信頼や価値を支える土台でもあります。知的興奮を伴う体験と対話を通じて、「自分たちの仕事の本質はここにある」と社員一人ひとりが気づく。その瞬間から、組織全体に安全の意識と行動の変化が広がっていきます。

Case 03

大災害の記憶と教訓の継承

大災害の記憶を語り継ぎ、復興へ共に歩む未来創造の場づくり

自然災害は、数十年から数百年というスパンで発生することが多いため、記憶が風化しがちです。災害遺構や慰霊碑といった形のあるものを残していくと共に、語り部による体験の伝承や後継者の育成など、人的な伝承を支えていくしくみづくりが大切だと考えています。私たちはプロジェクトを通して、被災された方々の話にじっくりと耳を傾け、その声を記録し後世に伝えていくための場づくりを支援します。また、被災時の写真、映像、手記、新聞記事などをデジタルアーカイブとして保存・公開できるしくみをつくることで、場所や時間を問わず、世代を超えて多くの人がアクセスできる環境を整えています。そして災害の記憶の継承だけでなく、地域の人々が協働で復興に向けた歩みを進めていく未来創造の場づくりこそがわたしたちのミッションです。

  • 東日本大震災・原子力災害伝承館

  • 人と防災未来センター 震災直後のまち

  • 福島県環境創造センター交流棟 「コミュタン福島」 

リスクマネジメント実績